足底痛に悩むジカタビスト、システマの門を叩く

a boy wearing white karate gi システマ日記
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足底アーチを支えるために医療用インソールを作り、毎日使用している。

確かにある程度快適だ。

だが・・・。

右足底の痛み自体は変わらない。

それならばと足底筋を鍛えるために、毎日足と足趾のストレッチをしたり、足趾のグーチョキパー運動をしたり、青竹踏みをしたりと様々なことを行ってきた。確かに足趾の感覚は少し鋭敏になったような気はするが、やはり痛みはあまり変わらない。

地下足袋(足袋シューズ)を履いていると爪先が締め付けられない分だけ楽ではある。

しかし痛みが消えないのだ。

足裏だけではない。

右殿筋群の凝り、右股関節の硬さとだるさ、右大腿屈側(裏)の凝りも、以前からある。

常にこれらの症状があるわけではないのだが時々悪化する。

なぜ右半身にばかり症状がでるのかということについては思い当たることがある。

まず私が右利きであること。しかも常に力みがちであることも自覚している。

24歳、39歳のときに左足首周りを骨折しているので、これらの骨折の既往も右半身の力みに影響していると考えている。

右半身の凝りや右足底の痛みに対して解剖学的な分析を試みても完全な分析はまず不可能だし、分析ができたところで意識的に理想的な身体操作を実現できるかどうかもわからない。

右足底の痛みが自然に消える気がしない。

痛みに慣れるか、あるいは痛みを抱えながら歩き続け根性で克服するしかないのか。

幼少期のアニメ体験から昭和のスポーツ根性論的発想から抜けきれない私であるが、ひょんなことから新しい世界への扉が開かれた。足底の痛みのみならず、もっと根本的な心身の革命となるかもしれないことへの扉が。

神は動き続ける者にチャンスを与えてくれるようだ。

それはシステマというロシア武術であった。

もともと私は武術が好きであった。

多くの少年がそうであるように強さへの憧れは少年時代に強く持っていたし、これまでの人生を通じてほぼ常に持っていた。

強さや力といってもいろいろな種類がある。

体力、精神力、学力、経済力、包容力など。

中年の今は経済力への憧れはかなり上位に食い込んでいるが、私にとって肉体的な強さは精神的な強さと拮抗し常に1位か2位にきている。

精神の強さというと少し漠然としているが、私なりに具体的に述べると、弱きを助け強きをくじくこと、そして努力を継続できる意志の強さが代表的な精神的強さであると考えている。誰もがこういう強さを持ちたいと憧れるであろう。

ただこれらを実践できるようになるにはどうすればよいのかという話になるととたんに途方に暮れてしまう。

精神修養というと、滝に打たれるとか、断食するとか、世間に流布するイメージはそのようなものであろう。しかしそのような酔狂を実践することはなかなか難しいし、かりに実践したところで本当に精神力が身に付くのか、はなはだ心もとない。

一方、肉体的強さの代表である武術に関してはわが日本国においては歴史と伝統のみならず、かなり堅牢な技術体系がある。

肉体的な闘争に強いということは、他の先進国では野蛮なならず者というイメージでとらえられることもあるらしいが、日本だとそうでもない。武術や武道という言葉は武士道とセットになっており、精神の高邁さを連想させる。日本では武術家は尊敬の対象なのである。

つまり、滝に打たれることや断食ではなく、武術を修練してこれを身につけることにより精神の力を身につけることができる、ということは日本人の間では割と信じられているように思われる。

私は高校時代に柔道部に入り初段を取った。

その後も空手や中国拳法をかじったが、柔道も空手も武術というよりはスポーツであると思った。

中国拳法は中国からの留学生から1年間ほど教わっていたが、諸事情にて続けられなかった。

そうして社会人になり仕事以外のものから長らく遠ざかってきたが、定年をリアルに考え始める年齢になるといろいろと思うことがある。

健康でいられる時間はそれほど長くないわけだが、これまでの人生で仕事やその他諸々を理由に挑戦を避けてきたことはなかったか?

私としてはこれまで自分なりに仕事を頑張ってきたと思うし、この二十年間仕事一辺倒で生きてきて築いてきた自分の世界の外周に、はるかに大きな世界が横たわているのが見えるのである。

足底の痛みを何とかしたいという動機もあるが、それとは異なる文脈において、つまり自分の人生と向き合う中で武術を習おうと決めた。

私の聞きかじりの知識だが、武術の世界には実力もないのにはったりだけで道場を経営する人がいるらしい。そのような人がガチガチの柔道家やレスラーやフルコンタクトの空手家たちの道場破りにあっさり敗れ去り、道場が潰れるという話を聴いたことがある。

そのようなインチキ武術家を警戒するあまり、私は町道場を見学に行くこともなく、地道な筋トレやランニングに励んでいた。

また、昔習った中国拳法の独習も再開していた。

しかし、やはり先生に習わないと自己満足にしかならないと思い極めた。

私が人生においてやりたいことはいくつかあるが、その一つは武術である。

思い立ったが吉日。今やろう。

もともと武術が好きなので、武術に関する知識はかなり持っていたし、最近はユーチューブのチャンネルも充実している。私はブルース・リーが好きなので彼が創始したジークンドーは知っていた。システマというロシア武術が存在することは最近ユーチューブで知った。また合気系の武術にも興味がある。

インターネットで探してみると、地元にシステマの教室があった。ジークンドーの教室はなかった。合気道の教室はもちろんあるが、老人や女性の健康体操教室と化してはいないかという危惧を勝手ながら持ってしまった。

よし、システマに決めた。ロシアの武術、何となく強そうだ。

そうして私はシステマの門を叩くこととなった。

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